2005年11月09日

外貨預金との比較 番外編2 クロス円通貨ペアの評価の仕方

 番外編が続きます。前回はクロス円以外の通貨ペアの計算の仕方について述べました。これからはその知識を前提にして話を進めます。今日は高金利通貨ロング戦略の実践に向けた相場の捉え方という観点でまとめます。
 
 相場を動かす要因はいくつもありますが,多くの通貨に広く影響を与えるのは基軸通貨であるUSドルです。番外編でやったとおり,どの通貨ペアもだいたいUSドルがからんだかけ算か割り算で表現されますから,なんらかの影響を受けてUSドルを中心に相場が動くということは理解しやすいでしょう。アメリカ経済のGDP実績値が予想を上回ったとか,消費指数が想定外の好感度だったとかの発表で為替はしょっちゅう大きく動きます。そのUSドルの動きの中で注意しないといけないのは,USドルが買われる(売られる)代わりにどの通貨が売られる(買われる)かということ。東京がお昼の時間はUSD/JPYの交換が活発だとか,ヨーロッパ時間はEUR/USDとかGBP/USDが相場を引っ張ったりとか,そういう相場の主役になっているのがどのペアなのかということに注意しないといけません。逆に主役ペアが何かわからなければ,例えば今のようにEUR/USDが主役になっている中でGBP/JPYのチャートに目を光らせていても,この相場が上がるか下がるかは簡単にはわからないということになります。

 今までのところをもう少し詳しく見ていこう。USD/JPY以外の一般のクロス円は所詮はかけ算通貨なので,なかなか主役にはなりえません。テクニカル分析でチャートを見るにしても,クロス円そのもののチャートだけ見ててもポイントが見えてきません。結局は終わってからの後講釈で,さっきのが底だったとか天井だったとかの分析しかできません。テクニカルチャートもそのような結果を見てからプロットされたりするのであんまり役に立たないのです。それよりも主役の動き,例えば今であればEUR/USDを見ておけば大まかなトレンドがつかめます。脇役ばっかり見ていても主役の動きでどうにでも変わっていくのがかけ算・割り算通貨ペアの悲しい現実。まずはかけ算の元になる通貨ペアの動きをチャートとかでしっかり見ておくことです。

 クロス円のかけ算の基本はUSD/JPYです。だから高金利通貨のクロス円ロング戦略をとるとしてもUSD/JPYの動きは無視できません。真っ先にチャートなどのチェックをすべき通貨ペアがUSD/JPYです。USD/JPYのポジションがないからといって,これを無視してはいけません。なぜか?理由は単純です。主役の動きを無視して脇役の動きは理解できないからです。

 例で考えます。今回はフランスの暴動事件とかがきっかけになってEUR/USDが売られているのであって,EUR/GBPが”積極的に”売られているわけでもEUR/CHFが売られているわけでもありません。主役はEUR/USD売りなんです。EURよりも安心できるUSDを買おうという動きです。ちなみに投資の神様ウォーレン・バフェットは逆の相場を張っていたような記憶が・・・。まあ他人のポジションなんてどうでもいいですが。ここで言いたいのは,ではUSD/JPYをロングしている僕は,このポジションをどう評価すべきか(上がるのか下がるのか,買うのか売るのか)という見極めです。

 この場合は比較的簡単です。JPYが積極的に買われるような材料が出ていませんから中立だと考えることもできますが,あくまでも主役のEUR/USDの動きに合わせて多くの投資家は,手持ちにEURがあればEURを売って相手ペアを買うだろうし,USDが買いたければEURをもっていなくても別のペア(例えばJPY)を売ってくるでしょう。つまりトレンドに乗るためにはEURを売りたてて,一方でUSDを買いたてるトレードが活発になるわけです。実際にUSD/JPYは上昇に転じましたし,USドルの独歩高でした(ちなみに今週はあちこちのペアで調整USドル売りの動きになっています)。こういう場合はUSD/JPYショートのポジションを持っている人は損切りなどを考えたほうがいいということになります。ロングの人はさらにポジションを積んだりホールドして適当に利益確定などをすればいい。

 さて,これまでの話は主役がEUR/USDのときのUSD/JPYの評価の仕方についてでした。当然,主役がGBP/USDだったりしたときはまた違った考察をしないといけません。またGBP/JPYなどのクロス円を評価するときはさらにややこしくなります。以下,さらっと読み飛ばしていただいて結構ですが,ちょこっと書いておきます。前回の番外編を思い出してください。

GBP/JPY = GBP/USD × USD/JPY

 この動きはさっきのように簡単にはわかりません。主役がGBP/USDでUSDが売られるとしても,JPYが売られるのか買われるのかでかけ算のGBP/JPYの評価が変わってくるからです。どんな場合でもUSD/JPY を無視することはできないということが実感できますね。
 もし現実の今のようにUSD/JPYが底堅い相場展開を見せているのであれば,たとえGBP/USDが落ち込んだとしても(つまりGBPがUSDに対して売り込まれたとしても)かけ算して,それほどGBP/JPY相場は落ちていかない結果になると予想されます。具体的な数値をシミュレートしても面白いのですが,直感で考えても,GBP/JPYロングポジションを急いで解消したり損切りを急いだりする必要はないかなと落ち着いた戦略をたてることができます。
 
 さて主役がGBP/USDでなくてEUR/USDだったらどうでしょうか。困りましたね。かけ算の式には主役のEUR/USDが入っていない。さらに展開してみようか。

GBP/JPY = (EUR/USD)/(EUR/GBP) × USD/JPY

 出てきましたよ。EUR/USDが。でもまあパラメータが3つになったわけで,それぞれのパラメータの動きの強さまではすぐにはわかりませんから,特にヨーロッパマニアでもなければ常時EUR/GBPの相場なんてチェックしている人はいないだろうから,はっきり言ってこの式を見ただけでは相場が上がるか下がるかなんてわかりませんね。いくらUSD/JPYが底堅いと言っても。だから主役の通貨ペアが何であるかという見方は決して外せない大事な概念なんですが,なじみのない通貨ペアが主役であるときはあまり深く考えないほうがいいのかもしれません。そもそも我々はプロではないしね。

 まとめます。高金利通貨クロス円は上のように,かけ算・割り算で主役ペアを含めた流動性の大きい交換ペアに因数分解して考えますから(繰り返し言いますがGBP/JPYという交換取引はほとんど見られません)合成した相場の動きを考えることはそもそもが単純ではありません。流動性の大きい通貨ペア全てについて分析しておくのがベストですが,一方でそんな時間は一般のサラリーマンにはありません。ともすれば面倒なことがきらいな投資家(僕はこういう楽して儲けようと考える人たちこそ投機家だと思うのですが)はクロス円がかけ算・割り算でできているという認識がないままチャートのテクニカル分析をして,上がったの下がったのと言っているわけですが,これでは全く本質には迫れません。ではどうすべきか。
 必ず出てくる“因数”USD/JPYの動きをきっちりフォローすること。最低限これが必要です。あとは自分が好きな通貨のUSドルとのペアの相場を一つぐらい見ておいたらいいと思います。僕ならAUD/USDとかGBP/USDをちょくちょく見ています。これらの相場がどこで跳ね返ってくるかなあとかいろいろ予想するには流動性の高い通貨ペア(要するに因数分解するときの因数ペア)の動きを見て,USD/JPYの動きと合わせてかけ算・割り算すれば,クロス円の底とか天井とかがある程度予想できるもんです。

 でも本業が忙しいサラリーマンは毎日こんなことやってられませんよね。だから余裕資産の運用としてゆったりと稼いでいきたいという一般のサラリーマン(一番健全な人々)はUSD/JPYだけ毎晩チェックしていればいいと思います。具体的な戦略は詳しくはまた別エントリにしますが,高金利通貨クロス円ロング戦略を基本にして,USD/JPYが下落(円高ドル安)しそうだなと思ったらクロス円ロングを一部利益確定して,下落した底あたりで買い戻せばよく,上昇しそうだなと思ったらロングを買い足してもいいし放っておいたらいい。予想が外れても高金利通貨ロングだからスワップポイントでそこそこ回復していきます。ただしレバレッジは低めを維持してくださいよ!

 今日はけっこう深いところまで書きました。次回も番外編として,クロス円以外の高金利・低金利通貨ペアを使った「円リスク」回避のロング戦略について書きたいと思います。



【Nov/09/05 16:10現在のポジション】
USD/JPY 230,000 LONG @115.532
GBP/JPY  40,000 LONG @205.440
AUD/JPY 290,000 LONG @ 86.364
NZD/JPY 180,000 LONG @ 81.381
GBP/CHF  50,000 LONG @2.25556
※実効レバレッジ 6.81倍
※含み益 260,793円(スワップ分は含まず)
※1日あたりスワップ(見込み)11,087円
(注意:単価は手数料控除後取引レートの加重平均による)

(コメント)
 メインで使っているセンチュリー証券が今月からのシステム変更で予想に反して使いづらくなったので,セントラル短資の方へ資金を移動させようと考えています。そのためにNZD/JPYのポジションを落としたところです。
 週の始めに70万円近くあった含み益も円高の影響でずいぶん小さくなっています。今までが円安進みすぎていましたからねえ。もったいないですが税金対策上,利益確定をためらってしまったのも含み益減少を容認してしまった原因の一つです。まだまだ研究が必要だなあと感じた次第。
 含み益はUSD/JPYが40万円以上あり,他通貨が全部マイナスです。GBP/JPYは買い場かなとも思うのですがレバレッジをこれ以上高めたくないので様子見を続けます。バランスとしてはまだややNZD/JPYが大きいかなと思うぐらいで,あとはこんなもんでしょう。
posted by 隼人魂 at 16:27| 鹿児島 | Comment(0) | TrackBack(0) | FX取引への誘い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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